アクセラレータが必要な理由

世界中の技術者や科学者は、プロトタイプを実世界で試作しテストを行うという従来の枠組みでは合理的に解決できない課題を大量に見出しています。その結果、コンピュータ上のシミュレーションとモデリングに立ち戻り、仮想世界でのプロトタイプを構築およびテストし、実世界に合わせた修正を行っているのです。時間と費用の削減と引き換えに必要とされるのが、大量の計算能力。モデルや仮想プロトタイプは実世界と完全に一致、あるいは可能な限り近いものであることが求められるため、要求される計算能力は主として浮動小数点計算の性能によって決まります。

これまでは、単に汎用プロセッサの数を増やすだけで十分にそのニーズを満たすことができました。しかし、データセンターがその容積、エネルギー消費、管理面で限界に近付き、新しい別のソリューションが必要になっています。そこで登場するのがアクセラレータによる浮動小数点計算の高速化技術なのです。

浮動小数点計算専用に設計されたアクセラレータはコプロセッサであるため、コンピュータ内に既に用意されたスロットを使う以外新たなスペースを必要とせず、追加電力も僅かで、管理も容易です。そのため浮動小数点アクセラレータは、事実上世界じゅうの全スーパーコンピュータ施設の設計者から、より高い性能の提供をもたらす新たな技術分野として注目を集めています。現在、主要なスーパーコンピュータ施設のエネルギー消費量は一般に1MWを超えており、今後さらに5MW、あるいはそれ以上へと増加すると予想されています。これら施設による経済的負担や環境への影響を軽減するため、先見の明のある人々は革新的な方法を捜し求めているのです。